【後遺障害14級】後遺障害非該当の判断に対する異議申立てにより後遺障害が認められ,訴えを提起したところ,裁判所基準と保険会社基準の差が明らかに現れ,332万円余り増額した賠償額を獲得した事例
- 獲得金額
- 498万9638円
- 受傷部位
両膝打撲傷・両肘打撲傷・肋骨打撲傷・骨盤打撲傷・右関節捻挫
- 後遺障害等級
14級9号[局部に頑固な神経症状を残すもの]右肩~上肢痛
事案・ご相談内容
依頼者(被害者) | 女性、事故当時59歳、主婦・食品レジ |
---|---|
事故態様 | 丁字路交差点において、交差点を歩いて横断していた被害者と、右折中の加害車両とが衝突し、被害者が傷害を負い、その後に後遺障害が残った。 |
部位・受傷内容 | 両膝打撲傷,両肘打撲傷,肋骨打撲傷,骨盤打撲傷,右肩関節捻挫の傷害 |
後遺障害等級 | 14級[局部に神経症状を残すもの]右肩~上肢痛 |
獲得金額 | 498万9638円(保険会社最終提示額166万7575円で、330万円余りの増額) |
裁判所・事件番号 裁判年月日 |
札幌地方裁判所平成25年(ワ)第2555号 平成26年12月3日判決 |
運送会社の被用者である加害者が運転する普通貨物自動車が依頼者に衝突し、依頼者が傷害を負い、その後に後遺障害が残った事案。
加害者が、青色信号に従って加害車両を進行させて交差点を右折していた際に、同じく青色信号に従って横断歩道によりその進路の前方を横断していた依頼者に対し、加害車両を衝突させた。
依頼者は、本件事故により、両膝打撲傷、両肘打撲傷、肋骨打撲傷、骨盤打撲傷、右関節捻挫の傷害を負い、通院治療を受けたが、右肩~上肢痛の後遺障害を残して症状固定し、この後遺障害は、14級9号に該当するものであった。
もっとも、当初の手続では、後遺障害は認定されず、異議申立をした結果、認められたものです。
争われた内容(争点)
項目 | サポート前 (保険会社最終提示額) |
サポート後 (判決結果) |
増額幅 |
---|---|---|---|
治療費 | 548,767 | 548,767 | 0 |
入院雑費 | – | – | – |
通院交通費 | 57,760 | 57,760 | 0 |
文書料 | – | – | – |
その他費用 | – | – | – |
休業損害 | 384,750 | 1,095,658 | 710,908 |
通院慰謝料 | 610,000 | 1,100,000 | 490,000 |
逸失利益 | 750,000 | 767,880 | 17,880 |
後遺障害慰謝料 |
- |
1,100,000 | 1,100,000 |
その他(調整) |
- |
- |
- |
損害額合計 | 2,351,277 | 4,670,065 | 2,318,788 |
過失相殺後金額 | 2,351,277 | 4,670,065 | 2,318,788 |
既払金 | 683,702 | 683,702 | 0 |
既払金控除後金額 | 1,667,575 | 3,986,363 | 2,318,788 |
弁護士費用 | 0 | 400,000 | 400,000 |
認容額合計(主文) | 1,667,575 | 4,386,363 | 2,718,788 |
遅延損害金 | 0 | 603,275 | 603,275 |
合計 | 1,667,575 | 4,989,638 | 3,322,063 |
単位:万円 |
加害者側は、加害者の運行供用者性・過失、被害者の損害について、休業損害(家事労働)、逸失利益、傷害慰謝料、後遺障害慰謝料、弁護士費用について、つまりは、ほぼ全面的に争ってきました。
裁判所は、加害者には、本件事故の際、加害車両を運転し、交差点を右折して横断歩道を通過するに当たり、横断歩道によりその進路の前方を横断する歩行者の確認を怠った過失があると認めた上、裁判所基準で各損害の有無・額を判断し、「サポート後(判決結果)」のとおり認めました。
解決内容
依頼者が当事務所に相談に見えられたときは、後遺障害が認められておらず、あるアドバイスをし、異議申立てをしたところ、14等級が認められました。
このことは損害額に大きな影響を与えたことは事実ですが、比較表の「サポート前(保険会社最終提示額)」の提示額は、14等級が認めた上での提示であり、訴えを提起して、徹底して争い、裁判所基準で判断してもらったことが、ここまでの増額を確保できた勝因ということができます。
所感(担当弁護士より)
事案にもよりケースバイケースではありますが、後遺障害が認められる場合は訴えの提起を検討することはとても有益です。
なお、異議申立て後の認定判断では、次のとおり説明されていますが、そもそも判断の不安定さをうかがうことができ、安易に諦めることができないことが示唆されます。
「右肩~上肢痛については、提出の画像上、同部位に本件事故による骨折、脱臼等の器質的損傷は認め難く、その他診断書等からも症状を裏付ける他覚的所見は認め難いことから、他覚的に神経系統の傷害が証明されるものとは捉えられませんが、治療状況等も勘案すれば、将来においても回復が困難と見込まれる障害と捉えられることから、「局部に神経症状を残すもの」として別表第二第14級9号二該当するものと判断します。」
前田 尚一(まえだ しょういち)
前田尚一法律事務所 代表弁護士
出身地:北海道岩見沢市。
出身大学:北海道大学法学部。
主な取扱い分野は、交通事故、離婚、相続問題、債務整理・過払いといった個人の法律相談に加え、「労務・労働事件、クレーム対応、債権回収、契約書関連、その他企業法務全般」も取り扱っています。
事務所全体で30社以上の企業との顧問契約があり、企業向け顧問弁護士サービスを提供。
その他の解決事例
【後遺障害1級】近くの横断歩道を渡らなかった自転車だが重大な過失ではないとし,将来の介護料が認められた事例・自動車共済の54万円の最終提示に対し、裁判所で2300万円余りを獲得
- 獲得金額
- 2314万円8910円
- 受傷部位
頚髄損傷、左腓骨骨折、頚椎骨折(四肢機能全廃)
- 後遺障害等級
1級3号[神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの]頚髄損傷、左腓骨骨折、頚椎骨折(四肢機能全廃)
【後遺障害14級】逸失利益の基礎収入を実収入額を上回る平均賃金での算定が認められ、約285万円増額した賠償額を獲得した事例
- 獲得金額
- 479万3756円
- 受傷部位
頚椎捻挫,腰椎捻挫,左股間接捻挫及び左膝打撲
- 後遺障害等級
14級9号[局部に神経症状を残すもの]頚部痛の症状,局部に神経症状が残存
- 獲得金額
- 4594万5516円
- 受傷部位
- 外傷性ショック
- 後遺障害等級
死亡