【後遺障害11級】過失相殺される高齢者の事案(男性・73歳・スーパー警備員)であっても約65万円の増額ができた事例
- 獲得金額
- 536万2900円
- 受傷部位
- 左大腿骨転子部骨折,骨盤骨折,外傷性腸間膜損傷,肝損傷,出血性ショック,腹壁瘢痕ヘルニア
- 後遺障害等級
- 併合11級左大腿骨転子部骨折後の左股関節の機能障害(12級7号),胸腹部臓器の障害(併合12級)胆のう,小腸,大腸の各障害(13級11号),左大腿骨転子部骨折後の左下肢の短縮障害(13級8号)
ご相談内容
部位・受傷内容左大腿骨転子部骨折,骨盤骨折,外傷性腸門膜損傷肝損傷,出血性ショック,腹壁瘢痕ヘルニアの傷害
| 被害者 | 73歳・男性・スーパー警備員 | 
|---|---|
| 後遺障害等級 | 併合11級 左大腿骨転子部骨折後の左股関節の機能障害(12級7号)胸腹部臓器の障害(併合12級)胆のう,小腸,大腸の各障害(13級11号)左大腿骨転子部骨折後の左下肢の短縮障害(13級8号) | 
| 獲得金額 | 536万2900円 | 
| 裁判所・事件番号 裁判年月日 | 札幌地方裁判所平成26年(ワ)第1551号 平成27年2月17日判決 | 
スーパー警備員として稼働していた高齢者の男性である被害者が,平日の営業時間帯に駐車場の入口においてしゃがみ込んだ作業を行っていたところ,加害者運転の加害車両が,被害者に衝突し,さらに被害者を轢過し,被害者は,左大腿骨転子部骨折,骨盤骨折,外傷性腸門膜損傷,肝損傷,出血性ショック,腹壁瘢痕ヘルニアの傷害を負い,左大腿骨転子部骨折後の左股間接の機能障害(12級7号),今日腹部臓器の障害(併合12級:胆のう,小腸,大腸の各障害(13級11号)),左大腿骨転子部骨折後の左下肢の短縮障害股間接の機能障害(13級8号)の併合第11級の後遺障害を負った事案です。
加害者側は,保険会社との交渉段階ではしなかった過失相殺の主張を持ち出し,一定の範囲で認められましたが,訴訟の結果は,損害賠償額の増額となった事例です。
争点
本件訴訟では,次の諸点が争われました。
- 1 過失割合
- 2 損害
自賠責保険においては,被害者に落ち度がある場合であっても,被害者救済の見地から,被害者の重大な過失が認められるような場合に限って減額がされています(その場合でも被害者に有利な減額割合で行っているようです。)。
そこで,保険会社は,過失相殺を主張せずに,自賠責の範囲を基礎とした示談を提示をすることがあります。
高齢者は,無職であるか,稼働していたとしても就労可能年数が限られるので,逸失利益の額は,相対的に低い金額で算定されることとなります。
そのため,被害者に落ち度があるような場合でも,保険会社は,示談交渉段階では,自腹を切らなくても済む自賠責保険を活用すべく,過失相殺を主張しないで自賠責の支払基準の満額(あるいは,若干の任意保険での支払を加えたもの)を基として示談額を提示してくることがあります。
被害者に落ち度があるような場合には,被害者加害者双方の公平の見地からされる裁判所の厳密な運用によると,裁判所基準により過失相殺前の損害額が多く算出されても、過失相殺減額も組み込まれることによって、かえって確保できる金額が少なくなることもあり得るのです。
そこで,高齢者の場合の訴訟の提起については,特有の慎重な検討が必要となります。
解決内容
| 項目 | サポート前 | サポート後 | 増額幅 | 
|---|---|---|---|
| 治療費 | 11,127,103 | 11,127,103 | 0 | 
| 入院雑費 | 94,600 | 129,000 | 34,400 | 
| 通院交通費 | 92,760 | 92,760 | 0 | 
| 文書料 | 8,080 | 8,080 | 0 | 
| その他費用 | 355,160 | 355,160 | 0 | 
| 休業損害 | 3,767,753 | 3,767,753 | 0 | 
| 傷害慰謝料 | 1,510,433 | 1,880,000 | 369,567 | 
| 逸失利益 | 1,596,755 | 1,596,755 | 0 | 
| 慰謝料 | 1,500,000 | 4,200,000 | 2,700,000 | 
| その他(調整) | 213,245 | ||
| 損害額合計 | 20,265,889 | 23,156,611 | 2,890,722 | 
| 過失相殺後金額 | 20,265,889 | 19,683,119 | |
| 既払金 | 15,546,006 | 15,546,006 | 313,631 | 
| 既払金控除後金額 | 4,719,883 | 4,137,113 | |
| 弁護士費用 | 0 | 413,000 | 413,000 | 
| 認容額合計(主文) | 4,719,883 | 4,550,113 | ▲ 169,770 | 
| 遅延損害金 | 0 | 812,787 | 812,787 | 
| 合計 | 4,719,883 | 5,362,900 | 643,017 | 
| 単位:万円 | |||
加害者側は,示談交渉段階では,自賠責保険の支払を最大限活用しようとして,過失相殺を主張しておりませんでしたが,訴えが提起されると,当然のごとく,被害者に少なくとも3割の過失が存在するとの過失相殺減額を主張しました。しかし,被害者側が主張・立証した結果,裁判所は,本件事故における過失割合を,加害者85パーセント,被害者15パーセントと判断しました。
所感(担当弁護士より)
自賠責保険の支払限度額を基に,過失相殺の主張を敢えて主張しない保険会社の方策は,自賠責保険の事故被害者の保護・救済という観点からの被害者に有利な取扱いとは,異質で技巧的というほかありません。
しかし,一般論としては,裁判所の損害額の算定が,自賠責保険(そして,任意保険)の基準によるより高額になるとはいっても,その算定後に,過失相殺による減額がされるかどうかは請求できる損害額が大きく変わり,訴えを提起したことによって,獲得できる金額がかえって減額しないように,ポイントを洗い直し慎重な検討をすることが不可欠です。
 
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- 2314万円8910円
- 受傷部位
- 頚髄損傷、左腓骨骨折、頚椎骨折(四肢機能全廃)
- 後遺障害等級
- 1級3号[神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの]頚髄損傷、左腓骨骨折、頚椎骨折(四肢機能全廃)










