平成26年11月25日民事第5部判決

札幌地方裁判所判決
平成26年(ワ)第1104号
損害賠償請求事件
平成26年11月25日民事第5部判決

主 文

1 被告は、原告に対し、209万5177円及びこれに対する平成23年11月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを10分し、その7を原告の負担とし、その余は被告の負担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事実及び理由

第1 請求
被告は、原告に対し、757万9379円及びこれに対する平成23年11月17日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要
本件は、被告運転の普通乗用自動車が歩行していた原告に衝突した交通事故(以下「本件事故」という。)につき、原告が、被告に対し、自動車損害賠償保障法3条又は民法709条に基づき、損害賠償の支払を求めた事案である。

1 争いのない事実
(1)本件事故の発生
日時 平成23年11月17日午後1時40分頃
場所 札幌市白石区栄通18丁目5番
加害車両 普通乗用自動車(車両番号 札幌VゆZ)
運転者 被告
被害者 原告
事故態様 清田通りを南進していた被告運転の加害車両が丁字路交差点を右折した際、同交差点出口付近において、北に向かって歩行していた原告に衝突した。    事故の結果 原告は、本件事故により、頚椎捻挫、腰椎捻挫、右足捻挫、右手捻挫及び右足神経炎の傷害を負った。
(2)被告の責任
被告は、自動車損害賠償保障法3条又は民法709条に基づき、本件事故から原告に生じた損害を賠償する責任を負う。
(3)治療経過
原告は、本件事故により上記の傷害を負い、症状固定までの間、次のとおり治療を受けた(総通院期間は429日、総通院日数は221日)。
ア やまうち整形外科
平成23年11月17日ないし平成25年1月18日
通院期間429日間(実通院日数31日)
イ 南6条整骨院
平成23年11月17日ないし平成24年10月
通院期間約350日間(実通院日数187日)
ウ 三上整形外科医院
平成23年11月18日
通院日数1日
エ 柏葉脳神経外科病院
平成23年11月19日
通院日数1日
オ 札幌徳州会病院
平成23年12月22日
通院日数1日
(4)後遺障害等級
原告の後遺障害は後遺障害等級併合14級に該当する。
(5)損害の填補
原告の損害のうち、任意保険から207万4285円が填補された。
2 争点及び当事者の主張
(1)責任原因及び過失割合(争点1)
(原告の主張)
被告は、本件事故同時、運転者として加害車両を自己のために運行の用に供していたものであり、かつ、交差点を右折するにあたっては、歩行者の有無を確認すべき注意義務があるのにこれを怠った過失により本件事故を発生させた。被告には著しい過失があること、本件事故現場の交差点周囲は住宅街・商店街であることから、原告に過失はない。
(被告の主張)
原告は、横断歩道のない道路を横断中に、右折してきた加害車両に接触した。原告は、横断歩道のない道路を通過する際には、車両の動向に注意しなければならず、実際、原告からの見通しは良いことから、右折してきた加害車両に気づくことはできた。したがって、本件事故は原告にも落ち度があり、過失割合は原告1割、被告9割が相当である。
(2)原告の損害額(争点2)
(原告の主張)
ア 積極損害
(ア)治療費 199万0468円
(イ)通院交通費 13万9260円
(ウ)文書料(後遺障害診断書)1万円
イ 休業損害 8万3817円
ウ 後遺障害による逸失利益
(ア)基礎収入額 443万4600円
原告は、本件事故当時28歳(昭和58年7月1日生)という若年であったことに加え、医薬品の登録販売者の資格を取得するため、実務経験を積むとともに受験勉強を続けていたことから、今後、平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が高い。したがって、原告の基礎収入は、平成24年度・女性・大学卒・全年齢平均賃金である443万4600円とすべきである。
(イ)労働能力喪失率 5%
(ウ)労働能力喪失期間 38年間
(エ)まとめ
よって、443万4600円を基礎に、年5分の割合による中間利息をライプニッツ方式(ライプニッツ係数16.8679)により控除して、本件事故の逸失利益を算出すると、374万0119円となる。
(計算式)443万4600円×0.05×16.8679=374万0119円
エ 傷害慰謝料 150万円
原告は、本件事故によって、症状固定までの間、長期間にわたる通院を余儀なくされ、その総治療日数は429日間にも及ぶことから、傷害慰謝料は上記金額を下らない。
オ 後遺障害慰謝料 150万円
原告の本件事故による後遺障害は、少なくとも後遺障害等級併合14級に該当する。原告は、交差点をほぼ渡り終え、歩道に至る直前で加害車両にひかれたものであり、原告に過失はない。本件事故により、原告の日常生活への影響が生じている。また、本件事故により、仕事への影響も生じた。以上の事実に加え、原告は、本件事故当時28歳、現在でも30歳とまだ若く、この先長期間にわたり後遺障害に悩みながら生きていかなければならないことや、結婚や出産の際に後遺障害により悪影響が生じないかと強い不安を感じていることから、本件事故の後遺障害による精神的苦痛は甚大である。したがって、後遺障害慰謝料は150万を下らない。
カ 請求元本 688万9379円
キ 弁護士費用 69万円
ク 合計 757万9379円
(被告の主張)
ア 積極損害について
治療費、通院交通費及び文書料(後遺障害診断書)は認める。
イ 休業損害は認める。
ウ 後遺障害による逸失利益について
(ア)基礎収入は争う。原告の前年度の現実収入額は72万0324円であるところ、労働能力喪失期間は3年程度が相当であるが、この3年間で賃金センサスの平均賃金443万4600円の収入を得る蓋然性は著しく低い。したがって、基礎収入額は、現実収入額の72万0324円とするのが相当である。
(イ)労働能力喪失率は争わない。
(ウ)原告の症状は、今後その程度が軽減され労働に差し支えないものになることは十分予測できるものである。したがって、労働能力喪失期間は3年が相当である。
エ 傷害慰謝料について
金額の相当性を争う。
オ 後遺障害慰謝料について
後遺障害等級が併合14級であることは認める。
カ 弁護士費用について
金額の相当性を争う。

第3 当裁判所の判断
1 争点1について
(1)後掲各証拠によると、以下の事実を認めることができる。
ア 原告は、昭和58年7月1日生の女性であり、本件事故当時28歳であった(甲1)
イ 本件事故の現場は、別紙交通事故現場見取図のとおり、市道清田通(以下「清田通」という。)と北方向に伸びる市道(以下「市道」という。)が交差する信号機による交通整理の行われていない丁字路交差点である。清田通は、片側2車線、車道の幅員12.9mで、車道の両側に歩道が設けられている。また、市道は、車道の幅員6.1mで、車道の両側に歩道が設けられている。丁字路交差点の市道西側は資材置き場となっており、市道東側には1階にブティックの入っている3階建ての建物があり、その先の南郷通方向にはコープさっぽろLucy(ルーシー)店があった(甲11ないし15)。
ウ 被告は、清田通を南郷通方面から豊平区方面に向かい、第2車線を走行していたが、上記丁字路交差点において右折し、市道に進入しようとしたところ、豊平区方面から南郷通方面に清田通の歩道を歩行し、市道を横断していた原告と衝突した。
(2)そうすると、被告において著しい過失はなく、本件事故現場である丁字路交差点周囲は住宅街・商店街等とも認められず、原告と被告の過失割合は、原告10:被告90というべきである。
2 争点2について
(1)積極損害
治療費が199万0468円、通院交通費が13万9260円、文書料(後遺障害診断書)が1万円であることは当事者間に争いがない。
(2)休業損害が8万3817円であることは当事者間に争いがない。
(3)後遺障害による逸失利益について
前記争いのない事実、証拠(甲10、甲16)及び弁論の全趣旨によると、原告は、平成18年3月15日にA大学で学士号(人文・社会学)を取得して卒業していること、原告は本件事故当時給与所得者であり、平成22年分の給与所得は72万0324円であること、原告は頚椎捻挫、腰椎捻挫、右足捻挫、右手捻挫及び右足神経炎の傷害を負い、後遺障害等級併合14級に該当することが認められる。原告は、平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が高いと主張するが、その主張を認めるに足りる証拠はない。そうすると原告の後遺障害による逸失利益は、基礎収入額72万0324円、労働能力喪失率5%、労働能力喪失期間3年とするのが相当であるから、9万8079円となる。
(4)傷害慰謝料について
証拠(甲4)によると、原告は、症状固定日が平成25年1月18日と診断されているところ、原告の症状固定日までの通院日数に照らすと、傷害慰謝料は100万円を相当と認める。
(5)後遺障害慰謝料について
原告の後遺障害の程度、原告の年齢その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、後遺障害慰謝料は110万円を相当と認める。
(6)小計
以上から、原告の損害額は合計442万1624円となるところ、過失相殺をすると397万9462円となる。そして、任意保険から支払われた207万4285円を控除すると、損害賠償額は190万5177円となる。
(7)弁護士費用
本件訴訟の内容、その経緯等に照らせば、本件事故と相当因果関係のある弁護士費用は19万円と認める。
3 結論
以上によると、原告の被告に対する請求は、209万5177円及びこれに対する本件事故日である平成23年11月17日から支払済みまで民法所定年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。

裁判官 浅田秀俊

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